馬とともに至福の時を過ごすことができるのがノルマンディー地方である。数多くの乗馬クラブがあり、いずれも入門者から上級者までを対象とした乗馬教室を開催している。馬に乗ってビーチや田舎を散策したり、数日間かけてホースライディングを楽しむ野外騎乗企画も豊富だ。また馬術競技や障害飛越競技も楽しめる。
2014年8月、ノルマンディー地方では4年に一度の世界馬術選手権が開催される。奇しくも今年は「ウマ年」、ノルマンディーはこの機に馬にまつわるイベントが様々開催される。
世界馬術選手権
世界馬術選手権は1990年スウェーデンのストックホルムで開催されて以来、これまでオランダ、イタリア、スペイン、ドイツ、アメリカで夏季オリンピックの中間年に開催されて来た馬術の総合競技大会だ。第7回の開催地は西北フランス、ノルマンディー地方。北のリヴィエラとも呼ばれるシックなリゾート地ドーヴィルの競馬や、多くの優れた血種を産するパン国立種馬牧場などはつとに有名だ。大人気の世界遺産モン・サン・ミッシェルは今年の世界馬術選手権でエンデュランス馬術の舞台となっているが、ここは普段からホースライディングが楽しめるのだ。
世界馬術選手権 Les jeux équestres mondiaux
2014年8月23日~9月7日
世界馬術選手権 公式サイト (英語・仏語)www.normandy2014.com
「馬の里」ドーヴィル
競馬場、賭け事、カジノ、板張りの遊歩道……
ドーヴィルはエレガントで上品なレジャーが楽しめる町。もてなしの心にあふれ、ノルマンディーを訪れたら必ず行きたい海外でも評判の海浜リゾートだ。多くのホテルとカジノ、スパ施設があり、人々を魅了してやまない。
653メートルも続く板張りの遊歩道を散策すれば、驚くような光景に出会える。太陽の光が雲や水のきらめきと戯れる様子はまるで印象派の絵画のよう。そのような風景をバックに色とりどりのパラソルが広がっているのだ。この絵画を鑑賞するための必需品はデッキチェアとビーチ用キャビン。
アメリカ映画フェスティバルが開催されると、ドーヴィルはまた新たな表情を見せる。国際センターCentre Internationalでは充実したプログラムの映画が上映され、この小さな町は第一級の文化の中心地へと変貌する。
そしてドーヴィルと言えばもちろん馬。ドーヴィルが人類が手なずけた最も高貴な動物と言える馬と関わって150年経ち、ドーヴィルで開催される馬術競技や競馬、近郊の種馬牧場は熱心なファンから素人までを惹きつけている。。市内に2つある競馬場からはレースのギャロップが響いてくるし、非常に近代的な国際馬術センターPôle international du Chevalでは馬術競技が開催される。国際馬術センターは、馬好き、イベント好きを夢中にさせるさまざまな騎馬スペクタクルが開催されるイベントホールでもある。
ドーヴィルでの一日の終わりは壮麗な内装のカジノ・バリエール・ドーヴィルで。リラックスした極上の時間を過ごすことができる。 www.deauville.org
モン・サン=ミッシェル湾で乗馬を楽しむ
「西洋の驚異」を楽しむ方法は多種多様。その中から、モン・サン=ミッシェル湾で乗馬するというユニークな方法はいかがだろうか。インストラクターが付き添うので、初心者から上級者まで誰もが湾内のホースライディングを楽しむことができる。ポニーや馬車による散策も可能だ。湾を横切り、ビーチに沿って早足やギャロップで駆け巡れば、息を飲むような光景が広がっている。モン・サン=ミッシェル湾周辺には多くの乗馬クラブがあり、乗馬体験、乗馬教室、乗馬研修、ホーストレッキングなどを開催している。
またモン・サン=ミッシェル湾の海洋環境復元プロジェクトの一環として駐車場からモン・サン=ミッシェルへのアクセス方法が一新されるが、2頭の馬が曳く馬車による送迎シャトルというユニークなアクセス手段が登場する予定だ。このようにモン・サン=ミッシェル湾での馬の存在は大きい。 www.ot-montsaintmichel.com
馬のヴェルサイユ宮殿、パン国立種馬牧場
パン国立種馬牧場は1665年にフランス国王ルイ14世によって設立され、300年にのぼる馬事産業を代表する存在だ。
パリにほど近い1000ヘクタール以上もの緑豊かな土地にあるパン国立種馬牧場は「馬のヴェルサイユ宮殿」の異名もあるほどで、世界で最も有名な種馬牧場のひとつだ。馬事産業のシンボル的な存在で、エドガー・ドガをはじめ多くの芸術家が作品の題材としてきた。さまざまな見学コースが用意されており、各自の好みに応じて観光できる。歩いて、あるいは馬に乗ってパン国立種馬牧場の荘厳な鉄柵門をくぐれば、その先には有名なルイ14世の小道が続いている。
ガイディングツアーに参加すれば、10種40頭の馬が飼育されている厩舎を見学することもできる。また最新の技術を駆使した近代的な第一厩舎も見学でき、馬の世界に親しみ、パン種馬牧場をより深く知ることができる。さまざまな体験を楽しむことができるのがパン国立種馬牧場だ。 www.haras-national-du-pin.com
パン国立種馬牧場からサン・ロー種馬牧場までを馬で行く
ノルマンディーの国立種馬牧場を巡り、馬の世界に親しむことができるルート。大世紀と呼ばれたルイ14世の治世下、宰相コルベールによって建てられた王家の厩舎で、革と干し草の匂いがする中、馬の準備が進められている光景が目に浮かんでくるようだ。
「馬のヴェルサイユ宮殿」と呼ばれたパン国立種馬牧場も、サン・ローSaint-Lôの町の中心にあるサン・ロー国立種馬牧場も、まずは当時のクラシックな様式の美しい建物に注目したい。この2ヶ所の国立種馬牧場ではいずれも夏になると馬車を使ったさまざまなイベントが開催され、1頭立て二輪馬車、豪華な四輪馬車、ブレーク馬車などが登場する。
二つの国立種馬牧場を結ぶルートは、アラ地方Région des Haras(種馬牧場の里)、スイス・ノルマンドSuisse Normande、ボカージュ・リヴォワ地方Bocage Virois、ヴィール渓谷Vallée de la Vireなどホースライディングに絶好であるだけではなく、目の保養ともなる変化に富んだ風景の中を行く。地元の特産品も多く、いろいろ試食してみたくなるに違いない。のんびり馬の歩みにまかせて、190キロ続くこのルートを堪能したい。コースには乗馬クラブが点在し、馬の試乗を楽しむこともできる。さあ、ノルマンディーを馬で楽しもう。 www.haras-national-du-pin.com
写真クレジット
Official poster English version - ©Comité d'Organisation Normandie 2014
Concours Complet d'Equitation (CCE) - ©Philippe Millereau KMSP
Parasols Deauville © VON PELCHRZIM
Haras du Pin © J.F.LEFEVRE
Coucher-soleil-Mt-St-Michel-© cdt50