デザインに溢れる街、マルセイユ

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マルセイユ市民の建築・デザイン愛

マルセイユは2600年もの歴史を誇るフランス最古の街でありながら、非常にモダンで時代のトレンドに乗った街でもあります。ここ数年来、マルセイユは建築・デザインと愛ある物語を紡いできました。

ル・コルビジュエ

まず、1950年代。第二次世界大戦で街が破壊された後、復興のための集合住宅の建設がスイス人建築家ル・コルビュジエ(Le Corbusier)に託され、「シテ・ラディウーズ(Cité radieuse)」が建てられました。この集合住宅は画期的なコンセプトに基づいており、建物そのものをまるで縦に伸びる「街」として捉えています。あらゆる施設が住民の手の届く範囲にある環境が作り出されました。商店や学校、体育館、レストラン、ホテルを備え、さらには屋上テラスでランニングしたり、ミニプールでリフレッシュしたり、地中海を眺めながらのんびりすることまでできるのです。建設当初は理解されず、評判が悪かったこの建物も、現在ではマルセイユで最も知られたものとなり、2016年にはユネスコ世界遺産に登録されました。マルセイユ観光局によるガイド付き見学ツアーで、特別に中を観覧する事が出来ます。

1990年代になるとイギリスの建築家、ウィリアム・オールソップ(Wiliam Alsop)が県の行政機関が入居する建物「ヴェッソー・ブルー vaisseau bleu (青い船)」を手がけました。ガラス張りの大きな建物で1階部分はピロティとなっており、屋根は船を思わせるような青い帆のような形となっています。ヴェッソー・ブルーにも中庭や屋上テラス、ピロティがあり、人々の流れを整理した設計で、建物だけでひとつの街を構成するコンセプトとなっているのは、シテ・ラディウーズを彷彿とさせます。

ザハ・ハディド他

その後マルセイユは、経済的にも文化的にも観光客誘致の観点から見ても、飛躍的な発展を遂げます。それは、第二次世界大戦以降に実施された中で最大規模の都市開発計画ユーロ・メディテラネ(Euroméditerranée)によるものでした。商業港が北部へ移転したこともあり荒地となっていた港湾地区を活性化させることに主眼を置いたもので、ビジネス、住居、教育、文化、観光、など街としてのあらゆる機能をすべて共存させたのです。この再開発には多くの著名な建築家が携わりました。海運会社・コンテナ運送会社のCMA-CGMはイラク出身のイギリス人建築家ザハ・ハディド(Zaha Hadid)にタワー建設を依頼。マルセイユ市内で一番高いが、ノートル・ド・ラ・ガルド寺院の高さを超えるものではないもの、が条件で、およそ150メートルの高さのタワー建設が、マルセイユにおける建築ラッシュの幕開けとなりました。 タワー建設と同じくしてマルセイユは「2013年ヨーロッパ文化首都」に選ばれます。その直後から、次々に大規模な再開発が着手されていきました。

旧港

マルセイユの要である旧港の再開発を担ったのは、イギリス人建築家ノーマン・フォスター(Sir Norman Foster)です。旧港周辺の大半は歩行者天国となり、ヨーロッパ文化首都に選出された2013年に開催された様々なイベントの会場となりました。ユーロ・メディテラネ地区、特にヨーロッパ地中海文明博物館(Musem)が建てられたJ4 旧埠頭への移動が歩行者にとってスムーズであるよう車両の通行は大幅に制限され、カフェや散策に適したスペースが優先的に設置されました。 港湾施設があったJ4 旧埠頭はこの数年で根本的にその機能が変わり、現在はマルセイユの文化の発信地となりました。広大なテラスに3つの文化施設が並びます。イタリア人建築家ステファノ・ボエリStefano Boeriの手がけたヴィラ・メディテラネvilla Méditerranée、フェルナール・プイヨンFernand Pouillon設計の1950年代の建物内部に作られたプロヴァンスの視点美術館(musée Regards de Provence)、そしてルディ・リッチオッティ(Rudy Ricciotti)とロラン・カルタ(Roland Carta)によるヨーロッパ地中海文明博物館(Musem)です。 ヨーロッパ地中海文明博物館は「2015年ミュージアム賞」を受賞し、数年でマルセイユを代表する顔となりました。2013年のオープン以来600万人以上もの来館者があります。館内は二つのスペースに分かれています。マルセイユ出身の建築家ロラン・カルタが手がけたのは、17世紀の史跡であるサン・ジャン要塞を含む部分。網状のコンクリートとガラスの組み合わせのキューブからなる近代的なエリアと渡り廊下でつながっており、過去と現在の強い結びつきを感じさせます。

最新情報

少し先にあるのがレ・ドック(Les Docks)。19世紀に使われていた古い倉庫がリニューアルされ、ブティックやレストラン、カフェ、アートギャラリーなどが連なり年中無休です。

正面にあるのが2014年に新しく登場したショッピングモールのレ・テラス・デュ・ポール(Les Terrasses du Port)。200軒以上ものブティック、レストランがあるほか、260メートルもの長さのテラスがあり、マルセイユの港の眺めを楽しむことができます。屋上にあるのはLE ROOFTOPによるガーデンテラスR2。マルセイユの若者たちが集い、夏の夜に弾ける場所です。

徒歩数分のところにあるのがル・シロ(Le Silo)。かつて穀物の貯蔵庫として使われていた建物で、現在はイベント会場にリニューアルされました。客席の数は2000あり、海に面したオリンピア会場とも言えるでしょう。コンサートやバレエ、ひとり芝居などが開催されています。

ル・シロからほど近い場所にあるゴールデン・チュリップ・ホテル(hôtel Golden Tulip)を手がけたのはイタリア出身の建築家マッシミリアーノ・フクサス(Massimiliano Fuksas)。2016年にオープンしたこのホテルは近未来的な白い外観に驚かされます。同時に、スターウォーズに出てきそうな宇宙船のような70年代風の雰囲気を持ち合わせているようにも感じられます。この他にもジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)設計事務所が手がけるマルセイユタワー(la Tour Marseillaise)など多くの著名な建築家による建物が建築予定です。

ユーロ・メディテラネ地区にはまだまだ文化施設があります。隈研吾設計のプロヴァンス現代美術センターle Fonds Régional d’Art Contemporain (FRAC)では、定期的に特別展やイベントが開催され、テラスではのんびりお茶を楽しむことができます。プロヴァンス現代美術センターから真新しい市電に乗って旧港に戻りましょう。

日本のホテルグループ、東横インも新しくホテルをオープンさせます。白い客船のようなホテルが駅近くに登場。旧港へも歩いてすぐの好立地です。

このように、マルセイユの街はここ数年で大きく変貌を遂げ、地中海沿岸で観光客が必ず訪れたい文化的な街となったのです。マルセイユでの滞在は楽しく豊かなものとなるはずです。

定番の観光地を巡るコースからもっと近代的な側面を見学できるもの、どこから見ても超現代的な建物を見ることのできるコースなど、様々な角度からマルセイユを観光できるツアーが用意されています。

プロヴァンスにある魅力的な街、マルセイユをぜひ旅先へお選びください!


マルセイユ観光局 プレス資料(英語)
マルセイユ観光局 公式サイト

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Beatrice Manzato