仏にとっての持続可能な観光発展とは?オンライン意見聴取に約5万人が参加

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Press release

観光産業はコロナ禍で最も深刻な影響を受けた業種のひとつでしたが、フランスの国内総生産の7.5%を占め、200万人の雇用を有する観光産業の再スタートは、コロナ後の経済復興の鍵を握っています。経済活動の再開は、フランスの観光事業者たちに現在の社会の諸問題を認識させる機会ともならなければいけません。とりわけ持続可能性や責任といった問題に配慮することは、ますます人気の高まる観光目的地としてのフランスを、まさにこうした問題に取り組む観光地として位置づけることにつながります。そのためにこのほどフランスの観光事業者の集団がヨーロッパ・外務省の支援を受けてフランスにおける責任ある観光に関する一般市民からの提言を募集することになりました。

意見聴取は2021年5月10日から6月20日までオンラインで実施され、5万人近い参加者を集める大成功を収めました。こうして得られた1800に上る提言は、今後フランス各地、そして全国的な観光戦略と具体的なアクションに活用されます。ここから引き出された結論は、とりわけ大統領が夏のバカンスシーズン明けに発表する観光回復計画の策定に役立てられる見込みです。

「フランスでより責任ある観光を実施するにはどのような取り組みが必要か?」との質問にフランス国内と世界各国から49,432人が1ヶ月以上にわたってMake.org のプラットホームを通して答えてくれました。結果、1,830の提言と、選択式設問への回答33万4400件が寄せられました。そしてここから「より責任ある、より持続的な観光」のための10の基本アイデアが浮上しました。たとえば汚染を生じない交通手段の開発、ゴミとの戦い、地元の産品や自然文化遺産の活用、地域的な偏りなくバランスの取れた観光、幼児期からの「より責任ある観光」に関する教育などです。

ここで得られた結論は、ジャン=バテイスト・ルモワンヌ観光担当副大臣が委員長を務め、主要な観光事業者で構成される観光セクター委員会(Comité de filière tourisme)において引き続き検討されます。同委員会のメンバーにはフランス観光開発機構(Atout France)、アウトドア宿泊施設全国協議会(Fédération Nationale de Hôtellerie de Plein Air)、地域投資銀行(Banque des territoires)、ADNツーリズム(ADN tourisme)、持続可能な観光事業者協会(Acteurs du tourisme durable)、テラジール(Teragir)があり、ヨーロッパ・外務省の支援を得て活動しています。またパートナー機関・団体としては以下があります。アリアンス・フランス・ツーリズム(Alliance France tourisme)、責任ある観光のための行動ネットワーク(réseau Agir pour un tourisme responsable)、旅行関連企業組合(syndicat des Entreprises du voyages)、ユットピア(Huttopia)、公正連帯観光協会(Association pour un tourisme équitable et solidaire)。 今回の意見聴取で得られた提言は、委員会メンバーの観光事業者が全国的に、また各地域においてすでに実施している多くのアクションをより強固なものにしてくれるでしょう。

ヨーロッパ・外務大臣付観光・在外フランス人・フランコフォニー担当副大臣であるジャン=バテイスト・ルモワンヌは以下のように宣言しています。 「我々が主要観光事業者らと実施した意見聴取には5万人近い方々の参加を得ました。この成功は観光事業者各位の熱意を示すと同時に、観光産業の健全な発展モデルがいかに望まれているかを示すものです。ここに表明された多くの回答や提言は、フランスおよび主要各国の観光客の皆さんの期待と具体的テコ入れ策を浮き彫りにしており、今回のイニシアティブは大変学ぶところの多いものでした。こうした知恵の結集から国を挙げての回復戦略への橋渡しを我々は確実に行わなくてはなりません」

なお、参加者49,432人のうち、フランス国内からの参加者は44,031人(89%)、国外からは5,401人(11%)、国外からの参加者の国別内訳では日本からが1424人で最も多く、続いてアメリカ1338人、カナダ910人との結果になりました。

賛同が得られた提言の一例:


持続可能な交通手段の開発と運用について
« あらゆる種類の自転車の列車による運搬を容易にするべき。(普通自転車、電動自転車、カーゴバイク、荷台付き自転車など) » サンドリーヌ Sandrine

企業・観光客に地元産品の活用を促すことについて
« 観光客の滞在時には、サプライチェーンの短い商品の消費を優遇するべき。 » ミナ Mina


観光地や自然地域におけるゴミの増加との戦いについて
«ビーチや森林などの場所におけるゴミとの戦い(意識改革、監視、ゴミ拾いなど)はより優先的な事項とするべき。 » ロリアーヌ Lauriane


国土の地域間における均衡のとれた観光活動について
«フランス人も外国人も、国土内の今日あまり人が行かない場所に行きたい気持にさせることが必要。 »  アスマ Asma


観光によって生じるゴミの管理体制改善と活用について
«各地の観光事業体に解説付き分別ゴミ袋を用意させて、バカンス中によい習慣を身につけてもらう。 » フレデリック Frédérique


観光地のコンクリート化の制限と自然地域の再評価について
«新規の観光開発は注意深く監視し、守るべき自然の生態系をこれ以上危機にさらさないこと。 » レ・ザヴァンテュリンヌ Les Aventurines


包装用品とプラスチックの生産・消費の制限について
«食品の必要以上の包装(特にプラスチック)を減らすべき。 » ダミアン Damien


地元の文化自然遺産や住民と結びついた周辺地域の観光開発について
«観光を最早必要悪のようには見なさず、地元との絆を再発見する真のチャンスと見なすべき。 » ヨハン Yohann


幼児期からの「責任ある観光」教育について
«子どもたちにごく幼いうちから動植物や環境を大切にすることを教える。そのためには最大限の実地見学をさせる。 » ジャン=ピエール Jean-Pierre


責任ある観光の実践事業者の明示、支援、強調について
«規制を遵守し革新的な観光開発を目指す民間プロジェクトに寄り添い具体的な支援をするべき。 » オード Aude



意見聴取の結果はここでご覧いただけます。